正十二面体の対称性をもつテンセグリティ

正十二面体の対称性をもつテンセグリティ(tensegrity)。

2001年に鎌倉近代美術館で開かれた「バックミンスター・フラー展」を観て、触発されて作った。この他にもストローと輪ゴム等を使っていろんなバリエーションを作ったが、どこかにいってしまった。

写真のテンセグリティは30本の部品から構成され、1つの部品は棒と糸の対からなる(下の写真参考)。棒同士に接触はなく、糸にかかる張力によって球形に保たれている。下で紹介する動画を見ると分かるが、弾力があり、軽く弾ませることもできおもしろい。形に注目すると、ボールの表面には、小さい正五角形とそれより大きい正三角形がみえる。ボールは、正五角形に注目すると正十二面体に見え、正三角形に注目すると正二十面体に見える、そういう対称性を持っている。(正十二面体と正二十面体は数学的にいうと「双対」の関係にあるので、実はこれは当然のことです。)綺麗ですね。

本当はこれは、鑑賞よりも組み立て作業の方がずっと楽しい。いままで何度も、壊しては組み立てを繰り返してきた。30本の部品を組めば完成するのだが、28本目を組み立てたあたりでちょっと不安になってくる。「本当にあと2本だけで完成するのかな?まだ、グニャグニャしてて、球になりそうもないんだけど」という風に。それが、最後の1本をはめ終えた途端、全ての糸に均等に張力が働き、さっきまでグニャグニャしていた棒の群れが綺麗な球形に自立する。この、調和して安定した状態に一気に落ちる瞬間がとても気持ちよい。

写真だけではおもしろさが伝わらないので、テンセグリティで遊ぶ様子と、組み立てる様子をGoogle Videoにアップロードした:



作り方について補足。ご覧の通り、部品さえそろっていれば組み立てるのは簡単である。同じ部品を30本作るのが少し面倒だが、決して難しくはない。この写真 https://f.hatena.ne.jp/tictac/20060220002737 のキャプションにはサイズも載せてあるので、自作しようと思った方はご参考に。

ポイント :

  • 木の棒の両端にはノコギリで溝が切ってある。
  • 木綿の糸の両端には、木工用ボンドを固まらせて作った塊がある。
  • この塊を棒の溝にひっかけることで、糸を棒に固定している。
  • 棒に溝を切るときには万力があると便利。
  • 糸を切ってから両端にボンドを付ける、のではなく、長いままの糸にボンドを等間隔に付ける → 乾かす → ボンド玉の部分で糸を切る、とした方が簡単で綺麗にできる。